<転載> 2004 スコットランド記 ⑫マッツンのこと 前編(4日目)
2017年 07月 02日
ここからしばらく「会話文」が続きます。
出会った人との会話も“記録”しておこー、と思ったからです。
思い出すと、それはそれは楽しいです^^
でも、ひたすら会話って、
どうなん?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 以下、転載
後述シリーズ第1弾。
マッツンのお話は後述ではなく、進行中のマクベス城での出来事だけど、お話的にスコットランド記の折り返し地点で、ちょうどいいかなって思ったわけです。
ちなみにマッツンとは私がつけた名前で、ご本人の名字に「松」がついてたことしか覚えていないからです。以上。
○○○
マクベス城の庭園は広く、背後は森というか、結構な雑木林で散策コースにもなっている。
何度も言うようだけど、色とりどりの花が咲き乱れている皐月の季節。
濃淡さまざまな緑道トンネルの中、彼はやって来た。
(日本人だな)
観光客もまばらな庭園内。その中の東洋人は私自身も含め目立つ。
そして、東洋人同士(正確には日本人同士)なら確実に思う。
中国人か?
韓国人か?
日本人か?
……だいたい雰囲気でわかるものだけど。
彼はどうみても日本人だった。日本の若者がしそうなファッションだったからだ。
つまり説明するのもめんどくさいけど、ダブダブのパンツとTシャツをやや着崩し、頭はもちろん茶髪。バックパッカー御用達のでかいリュックを背負い、片手にデジビデオ。
(日本人だよ〜日本人だよ〜だよ〜だよ〜だよ〜)
その時はすれ違っただけ。けれど、今度は裏手の山でばったり。
彼の方から話し掛けてくる。
「あの〜、日本人ですよね」
(そう言えば、スコットランドでの日本人同士の会話はいつもこれで始まったな)
遠い異国で会う同国人同士はそれだけで身内感覚になるとは聞いてたけど、まさにそのとおり!!
外国で日本語をしゃべれる爽快感と言ったら、へたれ英語しかしゃべれない私には幸せエネルギーそのもの。
それからしばらく立ち話。
彼はバスではなく、タクシーでやってきたらしい。
しかも近場の町であるネアンに寄ってからの城だから、妙に回り道をしている。
帰りをどうするか、不安だったようだ。
よかったね〜。私に出会って。
バスのことと帰りの時刻を教えてあげる。
「うわ〜、よかったあ。助かったあ」
と何回も連発する男の子はかわいい。
いい子だな〜、若いな〜と思っていると、私が思っていたより+5歳は年をとっていることが判明。
「オレ、いっつも若く見られるんですよね」
「あ、でも私の方が年上だ」
……いくつ年上かは言わないのが無難。
何だかんだで第1回おしゃべりタイムは終了。
第2回目はバス待ちのベンチで始まった。
彼は初海外旅行だった。それもホームスティと短期語学留学を合わせた長期旅行。さらにこのあと東南アジアをまわるらしい。
そして、タオルと時計を持ってくるのを忘れたらしい。
「はわ〜、すごいね」
「オレだけ海外行っていなかったんですよ。友達はいろんな所を旅しているのに。いっつもみんなの話を聞くだけで。で、みんな最後に言うんですよ。日本が一番いいって。コンビニだってあるし、住みやすいって。でも、本当かどうか、自分も行ってみないとわからないじゃないですか」
「あー、うん」
「でも、来てよかったですよ。ホームスティもおもしろかったし。英語は短期間じゃ無理だなー。あ、でもロンドンのバスはスゲ〜迷った。行っても行っても目的地に着かなくて、ロンドン中の人間がみんな嫌がらせしているんじゃないかって思ったくらい」
「へー」
「でもですね、聞いてくださいよ。迷って迷ってたどり着いた路地の行き止まりに絵が書いてあったんスけどね、その絵が女の子がパラソル差している(か、アドバルーンかは忘れた)絵でむっちゃかわいいんです。誰かが手書きで書いたものなんスけどね、スゲ−うまいんですよ。オレはこの絵に出会うためにいままで迷いに迷ってたんだーって思って。スゲ〜感動した」
(なんだかなー、この子の思考回路と感性が恐ろしいくらい私と激似だな)
「うわー、いいねぇ。ビデオに撮った?」
「もちろん撮りましたよ」
−手書きの女の子の絵の話はバスの中の第3次おしゃべりタイムのものである確率高し−
「ところで、この城にはなんで来たんです?」
「あー、私はマクベスが好きだから、来たかったんよー。マクベスっていうのはシェークスピアの書いたもので」
「オレ、ロンドンでハムレット見ましたよ。あ、原作も読んだ。英語ではまだだけど」
「……いや、ハムレットを読んでいるだけで、英語とかそういう前にスゴイと思う」
「え、そうですか?みんなに言われるんスよ。そうみえないって」
「うん。みえない」
力強くみんなに同意する。
誰が見てもシェークスピアには縁のなさそうな風体をしているのに、実は文学の話も通じるという意外性にちょっと感動し、マクベスについて熱く語る私。
「えー、マクベスって読んだことないけど、おもしろそうだなー。日本に帰ったら読んでみようかな〜」
「ぜひ読んで。読んでみてね」
ひたすら、ひたすらマクベスをプッシュをする。
今でも思う。彼は『マクベス』を読んだだろうか。
バス待ちの間、新たな観光バスが到着。見ると、日本人団体。
さっきネス湖で入れ違いになった日本人団体とは別のグループのようだ。
「どこから来られたんですか」
「あら、○○よ。(忘れた)昨日、ここに着いたばかりなの」
「スコットランドの観光ですか」
「スコットランドからイングランドの方にね、周っていくのよ」
「そうなんですか。いいですね」
でも、そのあとはさっさとおとなりの人との談笑に戻り、何事もなかったように去っていった。
……。
日本人団体旅行者に必須適用事項その1。外国で迷子になること。
なんとなく曇り空が色濃くなってきた頃、帰りのバスがやって来た。行きと同じく紫色の帯がつく。
1階の運転手の真後ろの席に並んで座り、そしてバスの中でも続く、さらにパワーアップしたフル日本語バージョンの会話。
……これは第3次としてカウントしよう。
しかし。
カッコ付き文章の羅列が延々と続く今回のエントリー。
この書き方のせいで今回初めて字数制限にひっかかりました。
……しょぼん。
残りの字数でマッツン話を終了することは到底不可能なので、
(しぶしぶ)(しょうがなく)(でも自分の責任)
次のエントリーにまわします。
第3次カッコ付き会話でやっぱり始まる次回エントリー、マッツン話後編中編。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 転載終わり
字数制限はもはやないので、続きを載っけて、記事数をまとめようかと思いましたが、
……まあ、元のまま行きます。
しかし、世界各国を旅するバックパッカーの人達ってスゴイ。
by mao-chii
| 2017-07-02 20:32
| 旅の話
|
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