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グラスゴーの街は、どことなくハイソな雰囲気が漂うエディンバラとは違って、活気がある(ガヤガヤしている)感じ。一見硬質にみえて、ざっくばらんな感じ。
やってきたときは、これが都会の冷たさなんだわ、な疎外感を勝手に感じて、エディンバラがいい! エディンバラに帰りたい!! な心境になっていました。

あ、あと、言語がわからない。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 以下、転載






「あの……今日、宿の予約を取ってる者ですけど……」
受付の小窓から黒人の若い男性が顔を出した。
無表情で名簿が出される。
『これ?』
無言で名簿の自分の名前を指差されて、思わずうなずいた。
「そーです」
男性は名簿にチェックを入れると、無造作にルームキーを差し出した。
「あ、ありがとーございます……」

(……なんか、ボロっちい内装だなあ)

2階にあるキー番号のドアを開けるやいなや、さらにボーゼン。

染みの浮き出た壁。
みすぼらしいベッド。
飾気のない机と椅子。
灰色の薄汚れたカーペット。
タオルが無い。

あの〜、ドコが「清潔で雰囲気が良い」部屋なのでしょーか?
インターネットの写真はデマですか?

「タオル、ください」
受付にUターンしてきた客に、先程のアルバイターが棚から無地のタオルをとり出した。



∞∞∞∞∞



果てしなくダークブルーな海溝に沈みゆく深海魚、みたいなものになって、グラスゴーの街中を漂う。夕食の店を探す気力も失せてしまい、レンフリューストリートから歓楽街のメインストリートに続く通りに下っても、瞳はうつろ。お腹も空かない。もうコンビニでいいやと、一番最初に目に入った店に入った。サンドイッチとヨーグルト。レジに持っていくと、にこりともしない女性店員が相手をしてくれた。しかも商品を渡すだけで袋がない。と思ったら、カウンターの横にビニール袋が束になって置いてあった。このビニール袋、はがせないな、あれ? あれれ? もたもたと食材を袋に入れようとする。袋の要らない客が通り過ぎていく中、不器用な異邦人が一人。と、レジの女性と目が合った。彼女の瞳が緩んで、笑みを交わす。グラスゴーに来て初めて、ちょっとだけホッとした。



〜〇・〜・〇・〜・〇・〜・〇〜




雨だった。
グラスゴー2日目は私の気分を映したかのように、朝から傘が必要だった。
折りたたみの緑の傘を開く。今度こそメインストリートを歩く。
まず目指すは、お決まりのツーリスト・インフォメーション。
昨日と同じ坂道をゆっくりと踏みしめて降りていく。
レンフリューストリートはメインストリートであるソウキーホールストリートより一段高い地点にある。
グラスゴー市街の南側を流れるクライド川。そこに向かって土地が緩やかに下っていっている。
ソウキーホールストリートに来ると、通りが一段とお洒落になった。街路樹が植えられ、路面がアスファルトではなくて、市松文様の石畳に変わる。ここは歩行者専用の通り。ブティックやカフェ、いろいろな店が建ち並ぶ。
この通りを突き当たり、南に交差するブキャナンストリートを下ったところにインフォメーションはある。
が、十数メートル歩かないうちに、私の足が止まった。

「WATER STONE」

(あれ? インヴァネスにあった本屋と同じだ)

チェーン店だったのか、と本屋をのぞいてみる。時間が早く、他の店がまだ閉まっている中、その店だけは開いていた。

(広い……)
間口は狭いのに、中は広大。地下、地上も含めて5階くらいある。
(インヴァネスの店はしょぼかったのに。さすが都会!)
店内はゆったりとしていて、ソファーやテーブル、カフェまである。
……感激した。

――以後、別項。詳細は別エントリーで。

1時間くらい本屋で入りびたっていたが、当初の目的を思い出し、あわてて店を飛び出した。
飛び出した際に開店時間を確認する。夜の10時まで開いている。
……ヤッタ!! あとで来よう。

再び、通りを歩き出す。通りは店も開き、行き交う人も増えていて、賑やかになっていた。
ジョージ・スクエア。
グラスゴーのセントラルポイント。


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ヴィクトリア様式の歴史的建造物と銅像的偉い人が四方をとり囲む。
その一角にあるツーリストインフォメーションにようやくたどり着くが。
店内を見てまわるも、手軽なツアー企画があまりない(もしくは探す気が全くない)。数分滞在したのち、手ぶらで雨の中に舞い戻ることになった。

どうしようかな……。
行き当たりばったりの旅計画。気分によって行動範囲が変わる。
このときは、レイニーコンディションにロンリーテンションが合体して、オールナッシングモード(もーいいや、テキトーにぶらぶらしよ〜という状態)になった。


〜ブラブラ
〜ブラブラ


グラスゴー大聖堂

華やかなショッピングエリアから真東に伸びるカセドラルストリート。
終点地に大聖堂が建つ。
カメラを向けたが、デカすぎて写真に納まりきらず。
内部は薄暗く、威厳に満ちていて、雰囲気はエディンバラの大聖堂と似ている。けれど、
(あんまし、まったりできなさそうだな)
風格と敷居が高すぎて、長椅子に腰を掛けようという気にならない。
その代わり、見所はいっぱいあった。
聖堂の奥、天地を飾るステンドグラス。美しい。
地下に聖人の墓。
墓好き〜と興味深々で行くが、どこに墓? これ? これか? よくわからなかった。
メインの礼拝堂とは別部屋にある小さな礼拝堂。
壁や天井がすべて木造だった。
木だ〜木だ〜とすりすりしていると、女性職員がやってきた。
「ここ、古いんですか?」
「そんなに古くないわよ。まだ100年くらいよ」
(まだ100年。いいな〜、この感覚)
「どうしてここだけ木造なんですか」
「ここは特別な部屋なの。どうしてかわかる?(数秒タメ有り)ここはエリザベス女王もいらしたことのある部屋なのよ」
「へえー」
「王室専用の部屋なの。普段は一般公開しているけど、王室の方が来られたときはここを使うのよ」
「すごいですね。うわ〜」
とりあえず、感嘆しておいた。


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聖マンゴー宗教博物館

入り口のシバ神舞踊像がカッコいい。終わり。


プロバンド領主館

15世紀の建物がそのまま残っている稀有なスポット。
古い家屋や民俗的なことが好きな私。俄然好奇心をそそらせて、分厚い扉を開けた。開けた先は台所。
中世の住まいは当たり前だが、電気がない。よって暗い。
石組みの堅牢な壁が部屋を取り囲み、天井には太い梁が何本も通してある。床は磨き上げられた板が何枚も敷かれ、歩くとやや軋んだ。
当時、この家は宗教関係者達の共同住宅だった。身分も庶民よりは高い。いい暮らしに分類されるとは思うが、それでもこんな感じか。
暗いし、冬は寒そうだな〜。
祭壇。書斎。暖炉。一番面白かった、台所。
お玉や木杓子の台所用品が土間にそのまま掛けられている。
台所の造りはどこの国も同じだな〜。
中央の食事用テーブルはどっしりとしていて、触れると巨木から切り出したままの1枚板に見えた。そう言えば、家具はどれも立派。この上に各国語のパンフレットがあった。
去り際、2人ほどいた男性職員がにっこりしてくれた。うれしくなって、私も扉から顔を出して、手を振った。


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〜ブラブラ
〜ブラブラ


グラスゴーの中心街は城下町のように通りが格子状になっている。
ブキャナンストリートをはずれると、どこを歩いているのかわからない。
(ヤバクね?)
地球の歩き方を縦にしたり、横にしたり、斜めにしたり。
(さっき、ここ曲がったよな。ここ曲がって、こう来たよな)
(あれ? じゃあ、今ここ?)
(……)
(……)
(ここどこ?)
方向音痴がへたに歩いたらあさっての方向に行く、ということはよくわかっている。
グラスゴーの昼下がり。雨はもう上がっていた。


ブホ〜、ブホ〜、ホホホホー


その時、街中でもよく通るあの楽器の音がした。
あ、あの音は!

ツーリストインフォメーションに向かっていた朝。ブキャナンストリートの道端でキルト姿の男性がバクパイプを吹いていた。楽器のケースはそのままお金入れになっている。
バクパイプはスコットランドの民族楽器だ。……厳密にはスコットランド発祥の楽器ではないのだけれども。
アイルランドではティンホイッスル。スコットランドではバクパイプ。
私の気に入った楽器デス。
トランペットともホルンとも違う、高音の独特な音色。
響きは風に乗り、どこまでも渡っていく。余韻は空気に、芯は耳に残る。
エディンバラでも観光客向けにおじさんがやはり民族衣装で吹いていた。写真を撮り、お礼に1£をケースに入れた。
そのバグパイプが小休止を経て、再び鳴り始めた。

(でかした!!)

音の発する方向に走り出す。


(ありがとう!!バクパイプ!!!)


あっという間にブキャナンストリートに戻ってこれた迷子の旅行者。
……もう横道には入らないようにしよう。
それより。
こっちの演奏者にこそ、お金をあげるべきではないのか?
午後3時頃、1日中立ちっぱなしで演奏していたその人が仕舞いの準備を始めた。前を通りながら、心の中で礼を言った。


〜ブラブラ
〜ブラブラ


現代美術館

馬にまたがった正装した紳士の頭に赤いポールが乗っかっている
――という銅像が美術館のシンボルオブジェになっている。

赤いポールは工事現場にあるような一般使用品。それが男性の帽子代わりに使われているので、彼の顔は塞がり、馬と真っ赤な尖頭ばかりが目立つ。

グラスゴー、さすが、モダンな街。

無料で見れるお得な美術館。今まで見たところも全部無料だったけど。
地下は図書館。
雑誌をパラパラとめくりつつ、まったりカプチーノを飲んだ。




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ウィスキーショップ in プリンスズ・スクエア

グラスゴー滞在中、何度かおせわになったプリンスズ・スクエア。
中規模のショッピングモールである。
吹き抜けのエスカレーターがモールの中心を突っ切っている。
1階は樹木並みに巨大な観葉植物が植えられており、その周りはカフェテラスになっている。天蓋のガラスから光が降ってくる。
すごくお洒落なところだ。
その中にあるウイスキーショップ。

スコットランドと言えば、モルトウイスキーだろ。
棚には美しい琥珀色の瓶が何段も並んでいた。ただ瓶によって濃淡が違う。
「こちらのウイスキーはローランドのものよ。味わいはスパイシーでフルーティーで(形容詞が続く)」
「で、こちらのウイスキーはハイランドのものなの。味わいはディープで、なめらかで(以下同様)」
スパイシーってどんな味? フルーティーってどんな味?
ウイスキー、飲んだことないから想像がつかない。
……要するに、何もわかっちゃいねえ。
安すぎず、高すぎず、オーソドックスなものが欲しいと伝えると、店員さんが何本か選んでくれた。

ローランドの淡い透き通った色も捨てがたいけど、やっぱりハイランドの黄金色、大麦の色。

DALMORE ダルモア  37.99£

オールドパーに似たボトルスタイル。大鹿の絵柄が目印。
パピーへのお土産にした。
――さり気なく入れちゃっているけど、これは9日目の出来事でした――
(ウイスキーはおいしかったよ。ワインの方が飲みやすいけど)


〜ブラブラ
〜ブラブラ


聖エノクショッピングセンターやブキャナンギャラリーズなどの大手ショッピングモールに入り、あらゆるショップに顔を出し、徒歩で行ける範囲は歩き尽くした2日目。
一縷の望みを託して再び入った夕食のパスタ屋がやはり茹ですぎ。ミートボールもつなぎが全く入っていなくて、固かった。
あのさー、私が作った方がおいしいよ。
スコットランド全土、パスタ類、すべてマズイことがこれで判明。


〜ブラブラ
〜ブラブラ


いろいろ買ったお土産(Wittardの紅茶やWalkerのショートブレッドetc.)を片手にチャリングクロスに戻ってきた。
でも、荷物を置くとすぐさま、身軽になって飛び出した。



行き先は――

WATER STONE





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 転載終わり


街角のショーウィンドウに並んだ手作り石鹸。
素朴でカラフル。
この手の石鹸、今はわたしの街でも普通に売っている。


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# by mao-chii | 2017-07-20 23:06 | 旅の話 | Comments(0)


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スカイ島の朝。
お、あの辺は、言わなきゃ日本の風景みたい、と撮った1枚。
でも、ま、家の雰囲気が違うから、すぐばれるか。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 以下、転載





赤いトランクをガタゴトさせて(壁にぶつける or 角に引っ掛る)赤い螺旋階段を降りていたら、ポーターがあわてて駆け上がって来た。
朝っぱらからうるさい。

今日はスカイ島からグラスゴーに向かう日。
チェックアウトの時、先述のコックさん似の受付の男性が「スカイ島はどうだった?」と笑いかけてくれた。
「すごくよかったです。そう言えば、どこの宿も満室ですねー」
「観光でいっぱい人がやってくるからね。今の時期は多いよ」
だろ、だろ。街を探索して、すべての宿が「NO VACANCY」だったのには驚いた。宿、予約しててよかった〜って思ったもの。
また、ぜひ泊まりに来たいです。
心からお礼を言う。


バス広場に行く前にスーパーの「Safe Way」に立ち寄る。コンビニ並みに小さかったけど、ナプキンあった。よかった。その後、パン屋に行く。広場の前にはパン屋がある。スカイ島に来た初日、港場で海を眺めながら食べた、あのサンドイッチを買った店だ。今度は別のものを買おう。
丸1日のバス移動。グラスゴーに着くのは夕方になる。
結局、お昼ごはんのつもりで買ったパンはたったの2個。何を思ったか、シンプルな白パンとミネラルウォーター。(もっといろんなパンがあっただろーが)※種類も豊富なおいしいパン屋です。
それから、パンをぶら下げながら、広場の縁にある電話ボックスに入る。日本に電話をかける。マミーが出た。


ポートリーには旅行者の車もたくさん路上に留まっているが、バイクも相当数駐輪している。スカイ島はツーリングにもってこいの島。360度、視界が広がっていて、アップダウンもゆるやかだ。緑野と湿地。空と海。
ここで走ったら気持ちいいだろうな〜。今日も天気いいし。
メーカーを検分すると、ホンダやヤマハも少しだけあった。


バスが来た。
ちなみに最初のバスで酔って以来、酔い止め薬は絶対服用している。
乗客はあまりいない。席は選び放題。前でも後ろでもなく、真ん中の席を陣取る。パンとペットボトルはかごに入れる。ふう〜、これで安心……(記憶消失)。たぶん寝ちゃった。途中、目を覚まして、島の写真を窓から撮った。


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スコットランドらしい1枚。

低く垂れこめた雲間から蒼穹が見え隠れする
鈍重な天空と交わるように、白く濁る峰――無林の山
山も野も在るがままの姿で横たわる
霞みの暗さに封じられて

と、ちょっぴり詩的に表現したくなるほど(しかも翻訳調)、
リアルな風景に見えない〜
と、感嘆。


もう、バスよ、バス。ここでほっぽり出して行っていいよ。
ってわけにもいかず、バスは来た道をたどり、橋を通り、カイル オブ ロハルシュの街に戻ってきた。
ここから先はひたすら南に下っていく。

アイルランドでのバス旅行は絶えず音楽が流れていた。アイリッシュ民謡。アコーディオンにハープ、ティンホイッスル。旋律は風に溶け、緑の草むらを凪いでいく。
スコットランドではエンジンの音以外、無音。窓から差す光が席に縞模様をつくる。

この席に英語の文字が無かったら、ここら辺は日本の風景と変わらないなあ。

白パンはシンプルな味だった。やわらかくて、おいしいけど、水といっしょに飲み込むとやっぱり物足りない。
これだけで夕方までもつかな?

起きたり、眠ったり。太陽が高度を上げて、顔を直射するようになる。
席、変わろ。
運転中、寝ぼけ眼でふらふらと立ち上がったので、あちこちぶつかりながらの移動。同乗している白人の男性が怪訝な顔を向ける。


長いバス移動。今度は本当に止まらなかった。
唯一、停車したのがフォート・ウィリアム。
「1時45分まで休憩です」
運転手が言う。私も外に出て、お手洗いを探した。

ここがフォート・ウィリアムかあー。汽車を利用していたら、この街にも来てたよな。
鉄道の駅は駐車場の通りより、一本向こうの通りにあるようだった。
あ、あそこにでかい「Safe Way」がある。何か食べ物買おうかな?
でもめんどくさいな。グラスゴー着いたら、お店はいっぱいあるだろうし。
「時間、大丈夫? 1時45分だよ」
スーパーに向かって歩く私に、並んで歩いていたバスの客のおじさんが腕時計を指して教えてくれた。お互いにっこり。
大丈夫です〜。(それだけは聞き取れたし)

スーパーのトイレを借りて、店内には寄らず、バス停に帰って来た。

ここ、外国かあ。
あまり外国って気がしないな。
街の探検に行こうかな。ちょっと無理かな。
天気、いいな。気持ちいいな。

などと思いながら、駐車場をぶらぶら。
まったり。リラックス。
出発時間より少し早く運転手がバスに乗り込むと同時に私も乗る。

そして――
このバスに乗ってよかった〜!!!という出来事はここから始まった。



◆◆◆◆◆



バスが走り出して、小一時間経った頃。
座席に半身を埋めながら、ぼんやりとしていた時。
突然、弾かれたように目を見開いた。


グレンコーだ!!


眠気があっという間に吹っ飛ぶ。喰いつかんばかりに窓辺に張り付いた。

……グレンコーだ。

行きたかった場所。見たかった風景。
それがガラス窓1枚隔てた向こうに広がっていた。


フォート・ウィリアムの南に位置するグレンコーは、スコットランドで最も美しいといわれる峡谷。3つの連続した頂“スリー・シスターズ”をはじめ、緑の谷の両側には標高1000m前後の山並みが連なり、スコットランドを代表するドラマチックな景観が広がっている。(「地球の歩き方スコットランド」より抜粋)


天皇皇后両陛下も訪れた観光名所であり、トレッキングエリアとしても有名なここは、風景が尋常ではない。


私が見た風景。
モスグリーン一色に覆われる山と谷。
急勾配で盛り上がったかと思えば、同じ急勾配で下り落ちる尾根、また尾根。
延々と、延々と、巨大な波のようにうねり、続く暗緑の稜線。
緑。緑。緑。
山。山。山。
それは今までスカイ島で見てきた風景とも違う。


別世界だった。

口をあんぐりと開けたまま、こんな世界が存在するんだ。こんなとこで迷ったら、どーすんの?

バスが止まった。登山服に身を包んだ客が乗り込んでくる。


ゲール語で「嘆きの谷」という意のこの場所は、スコットランド人にとって忘れえぬ事件が起こったところ。約300年前、イングランドとの争いに氏族(クラン)の確執があいまって村人全員が虐殺されるという悲劇を生んだ。

スコットランドを旅すると、イングランドとの戦いの歴史であることがよくわかる。また、氏族同士の諍いも多い。かの「妖精の旗」の話はマクレオドとマクドナルドのスコットランド人同士の闘争の話でもあるのだ。

1692年2月13日早朝。緑の峡谷が赤い血で染まった。
歴史的事実である。

でも、その時の私は異形の光景にただ、ただ圧倒されていた。

なので、瞳には焼き付けたが、フィルムに焼き付けることはすっかり忘れてしまった。




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   ネットで拾ってきた無料配布のスコットランド写真。グレンコーもこんな感じ。


◆◆◆◆◆



窓の外はグレンコーを過ぎると、再び何事もなかったように元の風景に戻った。
森林の中を単調に走るバス。
けれども、再び、2つ目の有名観光名所が近づいていた。

スコットランド民謡にもある、「Loch Lomond」

♪ ♪ ♪
By yon bonnie banks, and by yon bonnie braes
Where the sun shines bright on Loch Lomon’
Where me and my true love were ever want to gae,
On the bonnie,bonnie banks o’Loch Lomon’.

美しの岸辺、美しの丘
光輝くロッホ・ローモンド
そこは愛しの人と訪れたところ
美しの、美しの湖畔、ロッホ・ローモンドよ
♪ ♪ ♪

3行目は別ヴァージョンがあるけど、私の聴いている歌詞はこれ。

スコットランド最大の湖であり、景観の美しさと交通の便の良さからローランド最大のリゾート地になっている。
ネス湖とは趣きが異なる湖だ。
といっても、バスから眺めただけなのだけれど。

グレンコーとは対照的な風景だよな〜。

湖のほとりにはコテージのような建物も見える。
緑陰の透き間でゆらめく水のさざめき。

バスの道は湖に沿って流れているので、しばらくの間は途切れることのない木立とそのせいで縦割りになった湖を堪能できる。
水際まで寄せられた車の色。森の中の三角州――アスファルトに立つ案内板と散策する観光客の服の色。

薄青と濃緑。水と樹の風景にたまに現れる鮮やかな色。

グレンコーほどの強烈さは全くなく、ローモンド湖はどう思い返してもありふれた風景でしかない。直接降り立ったわけではないし、間近で湖を見たわけでもないから、あの有名なトコか〜、とりあえず手軽にポイント通過〜、ラッキー☆という感想で終始してしまう。
残念だなあ。
だって、色の記憶しかない。

ああ、でもロッホ・ローモンドっていい名前だよね。韻を踏んでいるし。歌もよろし。
ロッホ・ネスはあれ? 微妙。
これが正式名称だと思って、エミリーちゃんファミリーとの会話で使ってみたけれど、相手があっさりレイク・ネスって言うんだもの。レイク・ネスの方が響きがカッコよくない? まあ、どうでもいいけどさ。



◆◆◆◆◆



バスがグラスゴー入りする。
おお〜、ひさしぶりに街を見たよ。

大学だ〜。
グラスゴーはスコットランド一の人口を擁する大都市。
エディンバラが歴史と文化を誇る街なら、こちらは工業と経済中心の街と一般に言われている。あと、大学の街と。

マンション、アパートメントの住居ビル、大学構内の講義棟と思しき建物。並木通りを歩く学生達。
ちょっとだけ大学時代を思い出す。雰囲気はやっぱり似てるなあ。

そうこうしているうちに、バスは街の中心地にやってきた。
車の数と人の数が桁違いに多くなり、煩雑な都市の音があちこちでこだまする。
それでも、グラスゴーも歴史ある街。
一見で古いとわかる建物が林立している。ココアブラウン色のどっしりとした雑居ビルや美観地区にある某銀行みたくセンスのいい古風な建築物がわさわさとある。
……その大体がコンビニだったり、スーパーだったり、CDショップ屋だったりしたわけだけど。

グラスゴー。
ゲール語で「緑の場所」を表す名前の街。
スコットランド旅行で一番長居した街。
そのせいか、今でも愛着がある。

ブキャナン・バスステーションに着いた時、時刻はもう夕方の6時前。
白灰色の雲が空を覆っていて、今までの街とは違う硬質な都会の感じがした。
……この街で楽しく過ごせるかな。
旅行者向けのゲストハウスが軒並み続いているのに、どこか寂れた、そしてなぜか人気もない通りを、トランクをゴロゴロ鳴らせて、宿に向かった。



◆◆◆◆◆



乗車時間も語りも長かったバス話はコレニテ終わり。
スコットランド記最終譚、グラスゴー物語、ココヨリ始まる。

ところで、

グラスゴー 「緑の谷 or 丘?」
グレンコー 「嘆きの谷」 

ゲール語って響きがいいから好き。あと、なんとなく意味がわかるよね。





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 転載終わり



おお、いつの間にか「スコットランド記」も後半に入ったよ。
次回から、旅の最終地、グラスゴーに移ります。
ここもいいところだったよ!

旅をしたら、どんなところでもいいところになるんだよなー。
どんな記憶も「思い出補正」でなんとかなるしさ。

グラスゴーへのバス旅行は、「思い出補正」をかけなくても快適でした。
あとは「グレンコー」の生写真さえあれば……^^


 

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# by mao-chii | 2017-07-18 23:23 | 旅の話 | Comments(0)
日本の昔話でもそうだけど、異類婚でハッピーエンドって少ない。
異形の姿でも、無事魔法が解けてハッピーエンドってなパターンなら多々あるけど、
あれも“一種の妥協”の産物なのかもしれん。

そういえば、「たにし長者」なんて、めずらしくハッピーエンドだけど、やっぱり最後は人間の姿になっているな。(でも実態はたにしなのか?)




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 以下、転載




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私が一番好きなものが物語。その中でも昔話は特に好きだった。
昔話、伝説、神話……
行ったことも見たこともない世界にワクワクした小学生の頃。
無心に読んだ古の物語。
その物語群は結果的に私を外の世界に押し出すことになった。

「ダンヴェガンの妖精の旗」はイギリスの物語だ。
イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの昔話は「世界むかし話集」ではイギリス編に納められている。
物語の大部分はケルトの伝説であったり、妖精や動物が登場する話であったり、起承転結すら覚束ない変わった話であったりする。
一方、同じヨーロッパでもドイツやプランスのような大陸のお話は毛色が異なる。
大陸の昔話は神様や悪魔が頻繁に登場する。悪魔が話中、ユニークな存在だとしても、善悪を象徴する要素が明確で、輪郭もはっきりとしている。物語に残る固有の地名、登場人物の名は薄くなり、逆に魔女や王様、王女様など、よりわかりやすいキャラクターで物語が創られていく。それはそれでとても好きだ。
ただそこには、いつかどこかであったような懐かしさはない。今という時間の彼方にある物語というより、全く別の次元の物語に昇華しているのだ。
よりシンボリックでメタフィジカルな。
銅色の森のあとに銀色の森を通り、最後に金色の森が現れるような。

だからなのか、国の違いもよくわかっていなかった幼い頃、ヨーロッパの中ではイギリス編のお話が一番好きだった。


マクレオド一族の長の妻となった妖精は王を愛してはいたのだろう。しかし、異界から来た彼女は人間界にはなじめなかった。
愛する夫と子供を残し、彼女は決然と振り返りもせず、妖精界に戻っていく。
妻が去った日。ちょうどその日は、妖精とマクレオドの血を継ぐ一人息子のお披露目の日だった。
大広間で宴会が催されている最中、小さな赤ん坊は別棟の塔ですやすやと眠っていた。子守り役の侍女はしばらく彼をあやしていたが、賑やかな声と楽の音に誘われて、小さな主人の元を離れてしまう。
暗い塔の中で一人きりになってしまった赤ん坊はいつしか低く、小さく泣き出す。
悲しい気な、かぼそい声は、だが、広間にいる大勢の人の耳には届かなかった。けれども、時空の異なる妖精界にいる母親の耳には届いたのだった。
彼女はいち早く息子のそばに姿を現した。それでも、人間界と決別をした身では息子に触れることはできない。
代わりに彼女はあるものを彼の上にかけた。









……スゲー、ピンク。


旗はペンキで塗りたてたようなピンクの部屋にあった。
通称「妖精の旗」。
物語の中では赤ん坊の上掛けになっている。
妖精族の織物。まだら模様の刺繍が施された、草色の絹の光沢。
赤ん坊は泣き止み、妖精の母は去り、それは人の手元に残された。

(いや、古いってことだけはよくわかるけど)

当時はまだ写真撮影禁止じゃなかったので、しっかりカメラに撮る私。
旗は隅は千切れ、中央部はもはや存在しない。妖精によって編みこまれた刺繍は形すら無く、限りなく薄汚れた一枚の布でしかない。というより、布の切れ端……

ホントにこれがあの旗なの?
威厳がないというか、ミステリアスな感じがないというか。
ホントにこれで敵を追っ払ったの?
ホントにこれで疫病を鎮めたの?
いや、すべてはピンクが悪いのか?


このドピンクな背景がすべての元凶なのか?




旗の前に立ち、しげしげと眺める。
私は、これを見に来たのだ。
これを見るために、スコットランドまで来たのだ。






★(・∀・)★






(これ、かわいいな〜)
場面が突然チェンジする。ダンヴェガン城の土産物屋。
城内の店ではなく、城に続く小道を舞い戻ったところにあるお店。
そばにはチケットセンターもあり、バスも留まる。
要するに、さほど長居せず、さっさと最初の地点に帰って来ていた。浮いた時間、私が何をしていたかと言えば、お店に並んである陶器に釘つけだった。

小さなお皿に赤い屋根の家。

13.25£。

スカイ島は芸術家の集まる島でもある。絵画、染色、フォトグラフ、ジュエリーetc.
その中で「Pottery」こと、陶器工房は一番数が多い。
もちろん、車があれば、直接工房に行ける(そして、車がなければ、到達不可能)。なぜなら、彼らはだだでさえ北の果ての孤島の、さらなる辺境に工房を建てているからだ。どこまでも俗世がイヤらしい(そして、どうやって生活しているんだ?)。
実際は、この島に30以上のアトリエ&スタジオがあるために客がいくらでもやって来るんだけどね。
「Studio Trails」のパンフ、今も大事に保存している。当時、涙を飲んで諦めたからね〜。





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              陶器だけじゃない。絵画やガラス、木工製品や写真、製本等いろいろ。




でも、工房ほど種類は多くないが、作家達の作品はスカイ島の土産物屋にも並んでいる。
私の気に入った「赤い屋根の小さな家」シリーズはこの、ダンヴェガン城のお店にしか並んでいなかった。だからとても運がいい。
大皿、花瓶といろんなタイプがあったが、一番目を引いたのはあの有名な絵本、リー・バートンの「ちいさいおうち」にそっくりな家が描かれた小皿だった。

山の麓、小高い丘の天辺にある小さな家。真っ赤な屋根にクリーム色の窓。真ん中にグリーンの扉がひとつ。
ひとつ、ひとつ、手描きなので、同じ柄でも微妙に色や構図が違う。
コーヒーカップやマグカップタイプがあれば、そっちを買っていただろうが、小皿でも3000円ぐらいする。でかくなればなるほど、値は張る。重量も馬鹿にならない。
それに、小皿と絵は構図的にとてもよく似合っていた。

迷うことなくレジに向かい、めでたく購入。
――今はマイルームの神棚、エビスじいちゃんのとなりにいる。(2017年現在エビスじいちゃんはとなりにはいない)



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                    ※



その後、お日様もさんさんと天気が良く、お店の外で休憩用のベンチに座り、テーブルの上で荷物整理をしていたとき。
二人組の旅行者に話しかけられた。
もともと彼女達とは顔見知り。目が合って、にっこり会釈した仲だ。バスも同じだったし、同じ小道を通って城に行ったのだから。なにより、彼女達も東洋人(華僑系?)だった。
同じテーブルに座っての、初のおしゃべり。うれしいね〜。

私は日本からやって来た。彼女達はシンガポールからやって来ていた。
見た目は中国人な二人。お互いは中国語で会話。私とは英語で会話。いや〜、どっちもぺらぺらっスよ。
二人はとても仲が良さそうだった。片方はもっさり三つ編みに眼鏡を掛けていて、陽気な感じ。もう一人は体格が少し細めの、笑顔のかわいい女の子。だから、私は何気なく言った。

「Mather?(お母さん?)」

あわてて首を振る二人。「Friends、friends!!(友達、友達!!)」

……ウオ?
フレ……
フレンズ……?
……

ミラクル速攻で謝る私。「Sorry!!!(ご、ごめんなさい!!)」


私の口頭猛謝(コートーモーシャ:ひたすら口のみで謝ること)に手のひらを向けて「いいの、いいの」と笑う女の子達。
「ごめんね〜」「こっちこそ」「本当にごめんね〜」「全然いいよー」とまるで日本人同士のような会話をする。

なんかイイわ〜。この感じ。このノリ。

ノリが合ったところで、さらに会話が進む。


「シンガポールって、ビルがいっぱいあって、大きな町だよね。都会だよね」
「そんなことないよー。あなたはどこに住んでるの?」
「倉敷」(または某地方都市)
「いっぱい人が住んでるの?」
「結構住んでるよ。あー、えーと……
(40万は英語でどう言うんだったっけ?)
……フォーティーサウザンズ?」
「へえ〜」
「ねえ、明日もここにいるの?」
「私達はいるよー。え? 明日はどこかに行くの?」
「うん。グラスゴーに行くの」
(あれ? フォーティーサウザンズって4万じゃね?)
「そうだ、お菓子いっぱい買ったのよ」
娘さんと間違えた方の女の子がバックからスナック菓子を何個か取り出した。
日本のお菓子で言えば、カルビーのようなポテトチップス。
「どうぞー」
お母さんと間違えた方の女の子が袋を開けてくれた。
「ありがとう〜」
(ま、いいや。4万でもそんなに少ない人口じゃないし。間違ったことは言ってないよ)

スナック菓子を3人でほおばる。
英語、もっとしゃべれたらいいのにな〜。

「お菓子、あげるよー」娘さん(仮称)が言った。
「え?」
「もらって。もらって。いっぱいあるから」お母さん(愛称)も賛同してくれる。
「えーと」
(マイッタな)
「これとこれどっちがいる〜?」
ビリジアングリーンにダークヴァイオレットを組み合わせた包装のポテトとブルー地のポテトが目の前に出される。
チーズ味となんだったっけ? ……ああ、ビネガー&ソルトだったな。
「好きな方取ってー」
「いいよ。いいよ。せっかく買ったのに、二人で食べてよー」
「遠慮しなくっていいよー」
「いやいや」
(どーしよ)
「私達、こんなに買ってるから」バックの中身まで見せてくれる。
「……」
(マズイから要らない)
「もらってもらって」
(って、言えない)
譲り合いをしばらく続けた後、女の子(娘)がついに渡してくれた。
「じゃあ、これあげるよ」

               スーパーで見かけて、うわ、誰が食べるんだ?と思ったこともあったよナ

ありえない色彩と味つけのポテトの方だった。

「あ、ありがとー」

気持ちはものすごくうれしかった。







★‡(・∀・)‡★








旗。

話題が突然戻ります。

何て言うかなー。そばにあった日本語の解説文を持って帰ってくればよかった。でも何かねー、テンション下がったからなー。

実は旗にまつわる逸話はいくつもあって、妖精がもたらしたという話はその内のひとつに過ぎない。



その1 十字軍Ver.1
十字軍に従軍したマクレオド城主。パレスチナに至る峠道で、ある隠者から忠告をもらう。「この先には悪霊がいる。この『主の十字架』のかけらをそなたにあげよう。これで奴を倒せるはず」マクレオドは悪霊−実は雷神の娘−を切り殺した。彼女は息絶える前に、彼の一族に関する未来を明かす。さらに彼女はこう命を下した。自分のガードル(腰巻)を旗に、自分の槍を柄にするようにと。


その2 十字軍Ver.2
十字軍遠征中のマクレオド城主。ある妖精から一つの箱をもらう。その箱の中にはまた箱が入っていた。入れ子状態になっている箱を次々に開けていくと、最後に魔法の旗にたどり着いた。妖精は言った。「もしあなたの軍が危機に陥ったとき、この旗を振りなさい。すぐに大軍の兵があなたの元に駆けつけるでしょう」城主はその魔法の箱を王に献上した。王は一族に領地を与えた。


その3 十字軍Ver.3
マクレオドの領地に住む一人の聖職者。彼は長年異国で捕らわれになっている娘を探しに国を出た。幾年もさまよったのち、ついに彼は娘に出会う。看守に賄賂を渡し、彼は娘と共に逃げ出した。だが、娘の主人は彼らを追うために何十匹もの猟犬を放った。娘はそれ故大量のプティングをふところに隠した。父親の背に乗り、馬で駆ける。すぐさま、猟犬が現れた。彼女は追っ手を少しでも遅らせようと、ふところのお菓子を投げた。投げて、投げて、すべて投げ尽くした。犬達は標的を遮るものが無くなったとたん、後方から馬に飛びかかり、娘を引きずり落とした。馬を走らせていた父親が気づいた時には、背後に娘はもはやおらず、彼女は猟犬の餌食になっていた。その頃、主人は父親である神父を捕まえようと、名高い魔女を刺客として送っていた。魔女は妖精の旗を腰に巻いていた。その旗は妖精女王である彼女の母が娘に贈ったものだった。旗には魔力があって、何者もそれを身につける者を貫くことはできないのだった。しかし、神父もそのことを知る者であり、彼は彼女を迎え撃つために武装した。彼こそ何者もその刃を防ぐことはできない一振りの剣を身につけていた。その剣は彼の義父が悪魔に仕えていた時に報酬としてもらったものであった。魔女は風に乗ってやってきた。そして、彼女はいつものように絹糸を神父に投げつけた。彼女の絹糸は蜘蛛の糸のように相手を捕獲する。けれども、神父は糸が絡みつく間にも、剣を頭上に構え、切先を魔女に向けた。魔女は自らに危害が及ぶとはつゆにも思わず、地面に降り立とうとした。その瞬間、神父の剣が彼女を貫いたのだった。神父は魔女の腰巻をはがし、自分の腰に巻いた。彼は死ぬまで腰巻を身から離さず、死後はその腰巻−妖精の旗−をマクレオド一族に残した。





はあ〜、すごく疲れたよ。
逸話はまだまだ続くけど、もういいよ。
つっこみたいところも多々あるけど、もういいよ。
あのボロ切れにどれだけ話があるんだ?
もう明らかに後付けだろ。

妖精ママが霞むような吃驚逸話の数々。で、妖精ママの話はどこ?




THE FAIRY BRIDGE VERSION
Once upon a time a fairy married a MacLeod Chief and was permitted to remain with him for 20 years before returning to Fairyland. When the sad day came to part,the Chief took leave of his wife at the Fairy Bridge, 3 miles from Dunvegan. She gave him the Banner telling that when he was hard pressed in battle, waving it would bring a host of armed men to his side.
妖精の橋Ver.
昔、ある妖精がマクレオドの長と結婚した。それから20年、夫婦は共に暮らしたが、妻は妖精の国に帰ることになった。悲しみの日、城から3マイル離れた妖精の橋にて、夫婦は互いに別れを告げた。妻は夫に旗を贈った。「この旗はあなたが戦いで難局に見舞われたとき、振ってください。味方の軍勢がただちに駆けつけるでしょう」





……短い。
最後に数行だけ書かれている。

「妖精の橋」は実在する。私は訪れることができなかったが、城から東北の方角、さほど遠くない所に橋はある。浅い小川をまたぐ古い石橋だ。

どこまでも続くエバーグリーンの大地を横切る清流。
人も目には見えずとも、石橋の向こうは妖精の国に通じているのだ。




物語の最終章。


いまでもこの妖精の旗は、ダンヴェガン城のガラスの箱の中におさまっています。そして、それにまつわるふしぎな物語を知っている人々はだれでもその前に立ちどまって、そのボロボロになっている遠いむかしの絹の一片に、じっと目をこらします。すると、歳月のために赤茶けてしまった布地の上に、あの妖精のまだら模様がししゅうしてあるのが、いまでもかすかに見わけられるのでした。




……あれ? 別段事実と違うことは語られていないよね。
赤い糸くずのようなものを刺繍というなら。
ガラスの箱というより、額縁だったけど。
ん? だったら、あの情緒の無さはやっぱりピンクのせいか。




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それはともかく。

スコットランドにはやっぱ、妖精話が似合うね。







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 転載終わり



立ち入り禁止だったところ。
塔への階段って、優雅に登っていくイメージが思い浮かぶけれど、実際はこんな感じだったかもしれないじゃないか。
そりや、子守りの侍女も広間に駆けつけますわ。

が、むしろ、わたしはこっちを登りたい。



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# by mao-chii | 2017-07-15 21:04 | 旅の話 | Comments(0)
ネス湖のほとりのアーカート城。
入り江に建つダンヴェガン城。

シチュエーションは似ているのに、なんか、なんか、ネス湖に負けている気がする。
ナゼだろう?



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 以下、転載





スコットランドの西のはずれ、スカイ島の西岸に立つダンヴェガンの城は、千年以上も、マクレオド一族の本拠でした。ダンヴェガンの入江をこえて、むかしからいく人もの首領は彼らの古くからの敵、エイグ島のマクドナルド一族に向かって、軍隊をくり出しました。そういう彼らの一番の宝は、先祖代々伝えられてきた妖精の旗でした。
(世界むかし話集 イギリス編 「ダンヴェガンの妖精の旗」より)


私がスコットランドの旅に携帯した一冊の文庫本。それがこの本。





朝、バス停でまた日本人旅行者に会った。
「あの〜、日本人ですよね」
「あ、はい」
相手は若者1人旅。
「どこに行かれるんですか?」
「ダンヴェガン城です。どこに行かれるんですか?」
「僕は今日は東の方に行こうかと……。昨日は蒸留所に行ったんです」
「ウィスキー!」
「そうです。ウィスキーが好きなんですよ」
「もしかして、蒸留所巡りしてる?」
「そうそう」
うわ、巡礼者に会ったよ!!
スコットランドはウィスキー好きにとっては聖地らしく、モルトウィスキー専門ライターの土屋守さんもこう書いている。


『スコットランドには、現在120近いモルトウィスキー蒸留所があるが、そのすべてを訪ねてみたいと願うのが、正真正銘(?)の愛好家である。たとえていうなら、四国八十八ヶ所の霊場を回るお遍路さんみたいなもので、愛好家にとっては単なる旅行ではなく、まさしく巡礼の旅なのである。』


……現物だよ。ちょっと感動。
「他はどこに行ったんですか?」会話の主導権がナゼカ私に移る。
「えーと、まだ、2、3個ぐらい。そんなに行っていないけど、アバディーンかな。そこは2人組の日本人が来てた。でも、別にウィスキーが好きってわけじゃなかったみたいだけど」
「ウィスキー、よく飲まれるですか? いっぱい買って帰るんですか?」
「うん。でも、今は日本でも買えるよ。むしろ日本のほうが安いかなあ」
「えー、そうなんですか?いくらぐらい……」
「1万から2万かなあ」
「へー」
バスが来るまでの短い時間だったけど、おもしろかった。彼は東京出身。生粋の江戸っ子だった。そして、
「こっちのマックって高いですよね」
「あ、ですよね〜」
「僕、思うんですけど、こっちの1£って、日本円に直すと200円だけど、こっちの感覚では100円なのかなーって」
という、みんなが異口同音に感じる会話も忘れなかった。

さて、ここからが本タイトル始まり。


∽∽∽∽∽∽∽∽





スカイ島はスコットランドのすべての風景が凝縮している、と言われる。
街中では晴れていた空も郊外に出ると一気に変化する。窓ガラスの向こうが霧がかったように曇る。
大地の起伏そのままに覆い尽くす深緑の草。
峻厳とそそり立つ侵食むき出しの岩山。
たまにある人家。
見なかったけど羊。
その中を舗装された道路だけがうねうねと走っている。
スコットランドではよく見る風景だけれど、離島だけあって、牧歌的、というよりかは未踏的。
地殻変動が無ければ、はるか昔も同じ世界が広がっていたかのような。



私が座った席は運転手さんの斜め後ろ、バスの一番前だった。
バスの開閉口には新聞紙が束になって積み上げられている。
(?)
なんだこれ?と思ったが、すぐに理由がわかった。
バスが所々で止まる。そこには小売店のような家があった。
店から店長らしき人が出てきて、新しい日付の新聞紙を運んでいく。いっしょになって運転手さんも手伝う。
もうそんなに早い時間ではなかったけれど、この土地ならではの効率的な方法。
辺境だな〜と思った。
バスの中は観光客でにぎやかだった。アジア系の人もちらほらいる。
話し声が響くバス内で、私はやっぱりいねむりする。寝ようとしているわけではなく、体も口も頭も使わないでボーとしていると眠ってしまう特性なのです。
延々と続く半荒涼とした視界にようやくまともな風景――木々が生い茂る森――が入ってきた。観光用ホテルと数軒の土産物屋。地形的に海も見えたはずだけれど、まるっきり記憶にない。
いつものことだが、半睡眠の状態でダンヴェガン城に突入することになった。



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(蝿〜、蝿〜、蝿〜)

集団で蝿が舞っている。
それも黒くて、家バエより数倍大きいモノが。
ダンヴェガン城を前にした最初の光景がこれだ。……今でもよく覚えているよ。
コーダー城が手入れされた庭園の中に建っていたのに対して、ダンヴェガン城は内陸に深く切り込んだ入り江に建っている。つまり、森林と海という天然の庭園が城を囲んでいる。咲く花もどこか無造作だ。
城に至るまでしばらくその庭園を歩く。とはいっても、黒くて飛ぶモノの音声もあるので、優雅に散策とはいかないのだけれども。



遠い遠いむかし、マクレオド一族の首領に、マルカムという人がいました。ダンヴェガンの海が青々とした夏の空をうつし、ヒースの丘に真赤な花びらを散らしていたある日、彼は一人の美しい妖精の娘を花嫁に迎えました。



美しい情景で始まる物語。現実はハエかよ。
森の小道の終着点。小川をまたぐ短い橋を渡ると、さほど大きくも高くもない土褐色の城壁が迎えてくれる。
小さい頃、この城が本当に存在しているとは夢にも思わなかった。

う〜ん、ちょっとボロっちくね?
こんな最果てに立地、かつ風雪に耐えたとはいえ、壁の染みヤバイよ。
こんなところに嫁に来たの?

内部は外観に反して、重厚装飾。
目の覚めるような緋色の絨毯が階段から流れ落ちている。上階部がホールを廻るバルコニーになっていて、さながらおとぎ話に出てくる貴族のお城のよう……
という感慨はあまりなく、またもやゴーカパターンかあ、とさっさと通り過ぎた。
中世の城よ、何処。



ダンヴェガン城そのものの歴史は古く、城の一番古い建造物は13世紀頃のものである。城はもちろん今のような形ではなく、そこはダンヴェガンの湾に浮かぶ岩壁に囲まれた島だった。現在は実際、歩いてきたように陸路もあるが、当時は海に通じる道が唯一の出入り口。住居もわら葺き屋根に木造の家屋という簡素な造りで、むしろ敵に対して威力を発揮するこの特異な立地が、城の役割――水上の砦としての機能を果たしてきた。

2004年、現在。
玄関ホールの階段を上がると左右に通路が伸びていて、城を一回りできる。
ダイニングルーム。ゲストルーム。ライブラリー。どの部屋も明るく、手入れが行き届いている。
コーダー城の再来とも思える豪華絢爛な内装。コーダー城と違うのは部屋の品々を触れるくらいに近くで見れることだ。それと、肖像画の多さ。
歴代の城主もしくはそのワイフの油彩画が美術館の如くあふれていて、あり過ぎるとかえって注意を払わないため、あったことを今、パンフレットで確かめている。あ、MY写真にも写ってるじゃん。現城主が。



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29代目城主 ジョン・マクレオドさん。
スコットランドの伝統衣装であるキルトを身につけての一枚画。
その城主の画がいかに実物に忠実であったかは、日本に帰ってからのテレビ番組で知った。
「世界ふしぎ発見」で登場した肖像画そのままの城主。相好をくずしてレポーターの女性とお話している。スカイ島もマイナーじゃなくなったんだなあ。

肖像画よりブックシェルフの上の額縁に入った写真に見入る私。
白黒の世界でたたずむ女性。衣装も裾の長いスカートと頭冠から滝のように背をつたい、床の上に広がるベール。あれ? これウェデイングドレス? いいの? こんなプライベート写真?
この城にゆかりのある人達の写真があちこちにある。
城主が継ぐのは、城だけではない。人も思い出もこの城の歴史。



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例えば、城がかつての姿だったら。
この場所が紛れも無く、青海からやってくる外敵を払う鉄壁の防塞であった頃の。
掘っ立て小屋を少しましにしたような、城とは言えない代物であった時代の。
海に下る隘路の曲り角に井戸がある。その井戸はさらに古い。
奇跡のような水源があるために、もうずっと前からここは人の住処だったのだ。
どのくらい時を遡るのか。
そんな昔の物語を語るものは今はない。

そして、これからの物語は……
城主も城の維持に相当苦労しているらしい。だから維持のためにテレビにも出る。自ら観光ツアーも担当する。さらに山を売るとかなんとかで地元の人と悶着も起こす。
イヤ、なんか泣ける。掘っ立て小屋で敵を追い払っていた頃が懐かしいよ。私の払ったしょぼい入場料が何かの役に立ちますように。



それよりさ、通称、「The Sea Gate」と呼ばれるスポットは観光順路に入っていたの? パンフに井戸とか、中世の台所とか書いてあるんですけど。私、見てないんですけど。むしろそれが見れていたら、こんな記憶も興味もおぼろげになったことで字数を稼がなくてもいいんですけど。え?

あれ〜? あそこの通路にはショップがあったよな〜。あそこから外に出られたっけ? 内庭に行き損ねたとしたら、見たかったものを大幅に見逃したことになる。最悪〜。

まあ、私は「旗」が目的だったわけで。
それが見れただけでも良しとするべきなんだろうけど。



妖精は人間の世界では、決して完全な幸福を感じることはできないのだといいます。マルカムの美しい妻も、夫のために一人のかわいい男の子を生むと、どうしても仲間のところに帰りたくなりました。そのあこがれは、夫に対する愛よりも、はるかに強かったのです。



美しい妖精のワイフが残したもの。それが血筋をつなぐ息子と旗だった。





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 転載終わり



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かろうじて、妖精の塔は15~16世紀辺りか。
初期の建築物に比べたら、ずいぶん発展しているよね。




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# by mao-chii | 2017-07-13 21:11 | 旅の話 | Comments(0)

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「コックさんのようににこにこした」
今読むと意味不明な形容詞がつく、フロントマンのポールさん。
また泊まりに行きたいって思えるホテルだったよ。ありがとう、ポールさん!


検索すると、ちゃんと現在も営業してたよ、ローズデイルホテル。
そして、やっぱり高評価なレストラン。

ちくしょー、食べに行かなきゃ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 以下、転載






「ローズデイルホテル」はスコットランドで泊まった宿の中で一番高いところ。予約するのに前金が半分ほど要ったホテル。
ホテルだもんね。ゲストハウスでもホステルでもないもんね。
一泊8000円(朝食付き)ほどだけど、感想は

泊まってよかった〜。

の一言に尽きます。





ピンクとブルーのゲストハウスが並ぶ海辺通りとは逆方向の通りにあるホテル。
漆喰の白い壁に「ローズデイルホテル」の赤い文字。
建物はこじんまりとしているけど、真っ青な湾に面した、高いだけはある最高のロケーション。
部屋が陸側だったのがちょっと残念。



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ここには普通のホテルみたいなエレベーターはない。
海と丘の街らしく坂道や路地が多い土地柄。そこに建てられたホテルはすべてがびっくりするほど狭い、というかかわいい。
レセプションは入り口から数歩も歩かない距離にあり、コックさんばりにニコニコ笑うホテルマンが出迎えてくれた。すぐ隣に上りの階段が見える。分厚い薔薇色のカーペットに敷きつめられた内部は、階段といっても螺旋階段のように細く、入り組んでいる。
その螺旋階段を一巡りしたところが2階で、湾の全貌が臨める軽食用レストランになっている。そこからさらに半周りしたところが私の部屋だった。
「階段の途中にある部屋」とも言えなくもない。
いや〜。この造り、おもしろい〜。

チェックインをすると、イケメンポーターがやってきて荷物を運んでくれた。扉を開けた先の部屋は明るく、インテリアも女の子向け。花柄のベットシーツと暖色の壁紙。鏡台もシャワーもついてるし、即気に入ったよ!
でも、そのときは長居もせず、いそいそと荷物を解き、リュック姿で街にGO!!だったわけ。

まあね。
この宿は本当に快適だった。
なんかね。
どうしてここで夕食を食べなかったんだろう。


・Smoked Fish Pasta Rolls drizzled with a Lemon Buerre Blanc
(燻製魚のパスタ レモンソース添え)
・Seared Fillet of Skye Marinated Salmon set on a Spring Onion Mash then drizzled with a Crab and Chive Sauce
(カニとチャイブのソース添え春玉ねぎ敷きスカイ島産サーモンのグリル焼)
・Our own Dundee Tart with thick Cream and Marmalade Ice-cream
(クリームとマーマレードアイスクリーム付き自家製タルトケーキ)


おいしそーだよね。訳は適当だが。
チェックインの時、コックさんのような受付の人にメニューを差し出されたんだよね。予約が必要だけど、どうですか? って。
横に2階とは別の夕食用レストランがある。
「いえ、結構です(外で食べるし)」
その判断を今、猛烈に悔やむ。

本にも書いてあるじゃないか。人気店だって。知ってたけど。

いやね。
思ったの。
確信をもって。



朝食があんなにおいしいホテルなら、

夕食はもっととんでもなくおいしかったんじゃないのか。




2日目の晩に中華のテイクアウトをとってる場合じゃなかった。
2日目の晩こそタクシーに注がなかった金をディナーにつぎ込むべきだった。
あ、中華は中華でおいしかったけど。




そのホテルの朝食。ローズデイルホテルの朝ごはん。
スコットランドで食した物の中で私的最高ランクを勝ち得たごはん。


Cereal Flakes of barley,wheat,oats,maize and rice
(シリアルフレーク)


特別感をだすため、いっぱい穀物類を列記してみた。
エレガンスさをだすため、英語で書いてみた。

シリアルフレークだけど、シリアルフレークじゃない。
シリアルフレークだけど、ケロッグじゃない。
シリアルフレークだけど、

スゲー、うまかったんだよ!!!

(ナンダヨホントダヨバカニスンナヨ)




朝食のラウンジ。
客はまだまばらで、席の多くは真新しいままだった。
黄金色の髪をなびかせてウエイトレスがほほえんだ。
「おはよう」
日はすっかり昇っている。朝もやがまだ残る海に透明な光が反射して、室内はきらきらと輝いていた。
(キレイなとこだなー)
案内された席は窓際。眼前にサックスブルーの海が広がる。
(いい席だなー)
さきほどのウエイトレスが注文をとりにきた。にこやかで涼やか。当然美人さん。もちろんフルメニュー頼む。


飲み物は紅茶。
ブレッド付。
卵はスクランブル。
ソーセージとベーコンとトマト。
マッシュルーム。
最後、ブラックプティング。


料理が運ばれてくる間、私はサイドメニューを取りに行く。
そこで前述の、かの、フレークに出会う。
3種類のフレークがガラスボールにそれぞれ盛られていて、穀物の色を忠実に映したような渋色、薄色、焦げ茶色。ドライフルーツが混ざっているものもある。

いつものように、お皿に3種類とも入れる。
ミルクに半分浸したフレークは一片、一片が普通のものより大きく、ボリュームがある。
白い深皿を埋める秋色穀物片……

はあ〜、おいしそうだな〜。(脳内挿入鮮明画有)


うまかったんだよ。うまかったんだよ。だって、おかわりに行ったもの。

全メニューを食べた後、やっぱりもう一皿食べたくて、いそいそと席を立つ。あのウエイトレスさんがにっこりしてくれる。



でもね。
その他の食べ物もおいしかった。
(ブラックプティングは除く)
エルダーヨークと張る。ううん、海とシリアルフレークのせいで、ポイントは上回ったね。
(伝統的本格ブラックプティングはまぎれもなく本物の味だったが、口に合わなかった)
一つ一つの素材がいいんだろうね。食べ物も給仕も最高。
(なるほど、これがこちらの味か、というぐらい独特、濃厚だった。食べ物は通常残さない私でも半分残した)
だからこそ、夕食を食べなかったことを後悔しているのだけど。
(それでも、スコットランド的味の真髄をみた。ブラボー、ローズデイル)




その夜。
布団にくるまりながら思った。
(明日もあの朝食、食べれるんだ〜)
暖かい毛布と暖かな思い。

こんな風に思えるホテルに泊まれたことにも感謝した。
(幸せだな〜)




2回目の朝食。
シリアルフレークはメインに入る前におかわりした。
ブラックブティングは外した。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 転載終わり


ローズデイルホテルのシングルルーム。
シャワーとバスタブ付き。
アイスランドのホテルの料金とファシリティーに比べると、なんてリーズナブルなんだろう、と感激します。


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ただ、何が残念かって、
このホテルで食したシリアルフレークに匹敵するものに、未だ出合っていないこと。


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# by mao-chii | 2017-07-12 00:38 | 旅の話 | Comments(0)

年々、いろいろ、雑記帳


by まおちぃ
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